ついに森の中に見えてきたファーンズワース邸。
まずは外観について、ガイドさんが説明をしてくれる。
石のプレートが張られている最初のテラス。この地域は寒暖差が激しいため、波打ったりヒビが入ったりしてしまったそうだ。
テラスを支える柱は少し下げて取り付けられている。これは、室内から外の景色やテラスを眺めたときに、柱が見えないようにするため。このあと、実際に室内から確認してみたが、確かに見えなかった。ミースのこだわり、すごい!
いよいよ室内へ。ガイドさんより靴を脱いで入るように言われる。靴下を履いていない人には不織布製のフットカバーを貸し出していた。
入り口を入ってすぐのところにあるダイニングセット。
リビングルーム。
リビングルームからのフォックス川の眺め。この距離では、洪水の被害が起きてしまうのにも納得。
リビングとは別にラウンジチェアが置かれたスペース。読書をしたり、お酒を飲んだり…?こういう空間の使い方、贅沢で憧れるなぁ。
ラウンジチェアが置かれたコーナーを曲がったところには、ベッドが置かれている。ベッドの脇にあるバスルームへの扉には、洪水被害の跡が見られる。
ベッドの両サイドには引き出し式のテーブルがあって、こんなふうに物が置けるようになっている。
そして、このベッドの足元側には、ガラス張りのこの家で唯一開閉できる窓がある(下側だけ)。
バスルームのなかは、ビジネスホテルのようなコンパクトな作り。日本人の私たちから見れば、ふーんという感じだけど、他の外国人参加者はせまーい!と驚いていた。
ベッドルームの角を曲がると、そこにはキッチンが。
継ぎ目のない1枚もののステンレストップがとても美しい。当時ステンレスを使うのは珍しかったそうだ。
キッチンから見える外の景色。
さて、壁がすべてガラスの家でコンセントはどうなっているのかというと、床に埋め込まれて目立たないように設置されている。
そしてもう一度角を曲がると、もとの入り口に戻ってくる。
入り口には敷居をあえて作らなかったそうだ。観音開きになっている入り口ドアを開けたときに、外と内との一体感を出すためだとか。日本のインテリア雑誌でも同じようなのを見たことがあるが(リビングと外に続くウッドデッキをつなげて広く見せる効果があるとか)、その考え方がこんなに以前からあったものだとは。
最後にボイラー室の中も見せてもらえたのだが、残念ながら聞いた話をすっかり忘れてしまった。
これで室内でのガイドさんの説明は終了。まだまだじっくり見ていたいところだが、次の見学グループが来る前に出なければいけない。
ということで、外に出たあとは少しの間自由な見学タイム。外観の写真を写したり、庭に出て遠目から眺めたり。
改めて外からファーンズワース邸を眺めながら、夫とこの家に住んでみたいかという話になった。私は住んでみたいと思ったが、夫はそうは思わないとのことだった。全面ガラス張りの状態に耐えられそうにないという。
ファーンズワースさんのように週末を過ごす別荘としてなら、全然平気だと思うんだけど。やはり見て素敵と思う家と実際に住みたいと思う家は違うんだなぁ。
歩いている途中で、アパートの近くで見かける桜によく似た白い花を見つけたので、ガイドさんにこれは桜の一種なのかと聞いてみたら、逆にあなたは日本人かと質問返しされてしまった。このガイドさん、若かりし頃は仕事で日本にも来たことがあったそうなので、日本人の桜に対する思いを知っていて、私にそう質問したのかもしれない。ところで、肝心の答えはりんごの一種ということだった。
見学を終えて、ビジターセンターに戻ってきた。
バスが出発する前に、少しだけお買い物タイム。旅行先でちょこちょこ買い集めているフリッジマグと、ファーンズワース邸の四季の様子を撮影したカード(帰国したら額装する予定)を購入、そして少しだけ寄付をさせてもらった。ほんの少しだが、このすばらしい住宅を未来に残すために協力できたらと思ったのだ。
シカゴに戻るバスの中でガイドさんから聞いた話だが、たびたび洪水の被害に遭っているので、別の安全な場所に移設して保存したほうが良いのでは、という意見が出ているらしい。しかし一方で、あの場所にあの家が存在するということにこだわる人もいるため、決定するのはしばらく先のことになるだろうという。
森の中にあのモダンな住宅があるからこそ、美しく見えるようにも思う。けれど、洪水で受けるダメージを考えると、これはきちんと考えなくてはならない大事な問題だ。そしてもしも、なるべくオリジナルの状態のファーンズワース邸を見学したいと思う人がいるなら、早く見学に行くことをおすすめしたい。
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