2018年4月6日金曜日

処方箋薬の受け取り、最終回で思うこと



日本クリニックで処方してもらっていた錠剤の、最後の受け取りに行ってきた。場所はいつもと同じ、近所のウォルグリーンズだ。

もうこのやり取りにもすっかり慣れて、緊張することはない。受付をしてくれた薬剤師さんは、ピスタチオ色のネイルをした小柄な女性だった(その色がかわいかったので、とても印象に残っている)。

今日は処方箋薬のカウンターが割と空いていたので、店内のベンチに腰掛けて、そのまま待つことにした。

そして待つこと15分。
名前が呼ばれたので受け取りに行くと、さっきと同じ薬剤師さんが説明をしてくれた。

「処方箋の通りに薬を用意すると、この金額になるけれど、もし店内で販売しているこっちの薬なら、だいぶコストを節約できるわよ。入っている成分は全く同じだから、効果は変わらないし、節約もできる。どうかしら?」

そう言って、処方箋薬の他に、ウォルグリーンズのプライベートブランドらしき薬を2種類見せてくれた。金額の差はおよそ30ドルくらい。

正直なところ、薬代は留学保険で請求することができるので、金額はいくらになろうと構わないのだが、思いがけない親切なアドバイスに、思わずジーン。これまで対応してくれた薬剤師さんも親切な人が多かったけど、ここまで客のことを親身に考えてくれる人がアメリカにも(失礼ながら)いたんだなぁと。

シカゴに住んでいると、アジア人の自分は差別を受ける側であるということが日常になっていたせいか(日頃、人から親切を受ける機会があまりない)、知らず知らずのうちに心がすこしひねくれた状態になっていたらしい。こんな些細な親切にも感動してしまうなんて。

最終的には処方箋薬を選んでしまったのだが、彼女には心からお礼を伝えてカウンターを後にした。

途中で気がついていたのだが、彼女は男性だった。

シカゴが、性的マイノリティの人たちに優しい街であることはずいぶん前から知っていた。街を歩いていれば同性カップルが普通に歩いているし、マツコ・デラックスのような女装をした人がそこらで買い物をしていたりする。今日の薬剤師さんのように、小売店では普通に働いている人たちを見かけるし。何よりシカゴがあるイリノイ州は同性婚が合法なのだから、こんな様子はあたりまえなのだろう。

彼女のようにごく一般的な職業に就く場合は、性同一性障害であるといったような診断が必要なのだろうか。実際のところそこまで詳しいことはわからないけれど、そういう人たちでも職業の選択がマジョリティの人たちと同じようにできるシカゴって素晴らしいなぁと思う。

ここに住んで、どんどんこの街を好きになっていったのには、そんな理由もあるかもしれない。

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